Staff

女性脚本のモーウェナ・バンクスは、何年も前から本作のアイデアを温めていた。「映画はもちろんフィクションだけれど、私自身が乳がんを患ったことがあったの。ほんの短い期間だったけれど、自分と周りの人たちに大きな影響を与えたわ。それで、乳がんを抱えてしまったら、いったいどうなるのか書いてみたいという気持ちが湧いてきたの。幼い子供や家族、友達との関係など感情的に向き合わなければならないことがたくさんあったわ。そこに女性同士の友情というテーマを加えたの。」
脚本を読んだ製作のクリストファー・サイモンが、その才能に惚れ込んでいたキャサリン・ハードウィックを監督に抜擢し、企画はすぐに動き始めた。ハードウィック監督は、脚本を読むなり気に入ったと振り返る。「人生のすべてが入っていたわ。幸せで楽しい人生を送っていたのに、突然大きな運命と向かい合わなければならなくなる。人生最大の出来事に直面したらどうする?優雅さとユーモアと勇気で乗りきれるか、それともただ打ちひしがれるだけ?しかも病気を告げられたら、家族、友人、子どもたちも、その病気と向き合っていかなければならないの。まさにすべての人が自身の人生と向き合うことになるの。」

「キャスティングは申し分なかったわ」と監督は自信たっぷりに語る。最初に決定したのはミリー役のトニ・コレットだ。「トニは私がこの企画を知る2~3年前に脚本を読んでいて、ぜひ出演したいとアピールしていたの。」
トニ・コレット本人はこう語る。「初めて脚本を読んだ時は鳥肌が立って、この作品に出たいとすぐに思ったわ。女同士の友情だけじゃなく、他にもいろいろと語られているから、もう興奮しちゃって。本当に嘘のないすばらしい脚本。何度も読んで、読む度に手触りがあって、ずっと私の心の中にあったわ。もう何年もね。」
ジェス役には、真実味がありトニ・コレットの個性と息の合う女優が求められた。監督は、「この難問を解決するのは楽しかったわ」と振り返る。「トニの粋な親友役には誰がいいかと考えたら、みんなドリューを思い浮かべたの。ドリューは素晴らしい人で、誰からも愛される“アメリカの恋人”みたいな存在よ。みんな彼女が好きでしょ? 親友にドリュー・バリモアを望まない人なんている? ドリューは心が広くて、楽しくて、きれいで、ハートを感じさせてくれる人よ。脚本を読んでもらったら、何か感じるところがあったのね。彼女から話し合いたいと言ってきたの。」

さらに、自分の親友役にふさわしいと感じたトニ・コレットは、この企画にぜひ参加してほしいとドリュー・バリモアに手紙を書いた。「すごく熱い手紙を書いたのよ。絶対この役をやってほしくて。ドリューは出産直後だったから、仕事をセーブしたいだろうとは思ったの。でも、彼女も気に入ってくれるという確信があった。正直に言って、これまで出演したどの作品より、俳優同士の関係がダイレクトにキャラクターとストーリーに影響するの。だから、私がドリューに寄せる期待はものすごく高かったの。」
ドリュー・バリモアもトニ・コレットとの共演がとても楽しみだったと言う。「トニ・コレットと仕事がしたかった。彼女は間違いなく、現在の偉大な女優の一人じゃない? 彼女の名前を口にする時は、最大の敬意を持って言わなくちゃ。」脚本についてはこう語る。「本当に感動するのは、難しい題材に敢えて挑んでいることね。がんを抱えた人を愛する人たちがいて、彼らも患者本人と一緒にその辛い旅をしなければならない。それをこの映画は描いている。」 セットで会った瞬間、トニ・コレットとドリュー・バリモアの呼吸はピタリと合った。監督は、「魔法みたいだったわ。初顔合わせなのに、ふたりとも自分の役柄を生きていた。トニもドリューもクリエイティヴで、楽しくて、感性が豊かで。それはもう、美しいとしか言いようがなかったわ!」

男性キャラクターも、とても重要な役だ。監督はリアルなキャラクターを演じられる俳優を望んだ。ジェスのパートナーのジェイゴ役には、パディ・コンシダインが選ばれた。「彼のことはよく知っているわけではなかったけれど、いくつかの作品で見たことはあったわ。神経質な役をやったかと思えば、ドタバタコメディにも出ているから、いったい何者? と思っていた。でも会ってみると愛嬌があって、感情豊かな女性なら夢中になってしまうような人だった。ドリューも賛同してくれたの。」
パディ・コンシダインにとって、文句なしに感情移入できるキャラクターを演じるチャンスだった。パディ・コンシダインは「脚本を読んだ妻が、絶対にやるべきよって言ったのさ。リアリティのある男を演じるチャンスだと思ったけれど、実際その通りになった」と振り返る。
ミリーの夫のキット役には、ドミニク・クーパーが選ばれた。監督は、「彼はダークな役や魅惑の男はたくさん演じてきたけれど、子持ちのパパ役は初めてよ。才能を十二分に発揮して、見たこともないドミニクを見せてくれたわ」と称賛する。

撮影は主にロンドンで行われた。「歴史も古く、いろんな時代の美しい建造物がたくさんあるし、古いものと新しいものの融合にもとても触発されるわ。世界中の人々を受け入れてくれる街を映画に撮りたかったの」と監督は説明する。
ミリーとキットが「私が死ぬ前に…」と書かれた黒い板壁の前を通りかかる印象的なシーンがあるが、これはロンドンに実在するアートのインスタレーションだ。ある日、監督が車を運転していた時、偶然見つけたと言う。「橋の下にあって、チョークが置いてあるの。そこへ降りて行って、死ぬ前にしたいことを誰でも書けるようになっているわけ。あれにはとても心を動かされたわ。」
ジェスとジェイゴが住んでいる、ロンドンのボートハウスは、テムズ川に浮かぶ本物の貨物船で撮影された。セットにした方が撮影しやすいのはわかっていたが、監督がリアリティを求めたのだ。
賑やかなロンドンとは対照的な、ヨークシャー・ムーアでも撮影された。監督は「死に直面しているのだから、女友達同士でクレージーな旅行に出るのはどうかと思ったの。そのアイデアをモーウェナに話したら彼女も賛同してくれて、脚本にふたりの旅を加えたの」と解説する。ヨークシャー・ムーアは、空に厚い雲がかかり、5分おきに天候が変わるような息を呑む風景だったという。